4年間のロンドン生活で僕たちが好きだったこと ベスト10

僕と妻は、2013年から今まで、ちょうど4年間ロンドンに住んできました。いよいよこの日曜日にロンドンを去って、上海に引っ越すことになりますが、本ポストは、僕たちがロンドンについて好きだったこと、ベスト10についてまとめます。この10個のポイントについては間違いなく、将来、懐かしい気持ちになるだろうなあ、と思います。

ちなみにベスト10といってますが、順序は適当で、10個思いついたことを書いてるだけです。いくつかはロンドンに限った話ではなくて、イギリスについての話ですが、まあ、その辺はご容赦を。

後ほど別の投降で、ロンドンについて残念だったこと ベスト(ワースト?)10も同じく書きますね。そっちの方が面白いかもしれませんが、まずはポジティブな方から行きましょう。

① パブでの気楽な飲み。

パブのいいところは、カウンターで飲み物を買ったら、あとはどう飲んでも自由なことです。席に座っても、カウンターで立ち飲みでも、その辺に立ったまま飲んでも、はたまた店の前の道端で飲んでてもいい。ロンドンは比較的気候が穏やかなので、年中比較的外で飲んでも気持ちいいのが良いところです(とはいえ冬の寒い日に、コート着て外でビール飲んでるのを見ると、未だにどうかと思いますが)。とにかく、パブの前の道中に立って飲んでいる人がいるのは、ロンドン特有の風景ではないかと。

そして、パブでの飲み会は、みんながそれぞれバラバラに集まってきて、勝手に自分の飲みたいものを買って、気が向いたら他の人にもおごって、自分が帰る時間になったら帰る、という適当ぶりであります。最初はあまりのオーガナイズのされてなさっぷりに驚きましたが、今となっては、これも個人の自由が好きなイギリス文化らしさかと感じます。とにかく気楽なのが良いところです。

② 美術館と観劇が超充実。

ロンドンといえば大英博物館が有名ですが、美術館も非常に充実してます。トラファルガースクエアのナショナルギャラリーがもちろん最も有名ですが、それ以外にも街のそこかしこに小ぶりな美術館があり、ルネッサンスあたりの巨匠の作品から、モダンアートまで、幅広く楽しめます。企画展も非常に多くあるので、常にアートを4年間通じて楽しめたのは、非常に良かったところです。

加えて、僕も妻も4年間の間に完全にバレエ好きになりました。ロイヤルバレエ、ナショナルバレエなど、ロンドンにあるバレエカンパニーだけでなく、ボリショイやマリンスキーなどロシアの有名カンパニーや、イギリスの他の都市のバレエカンパニーの公演もあり、非常に充実してます。また、クラッシック作品だけじゃなくて、モダンに再解釈を行ったり、バレエ出身じゃない振付家がアレンジをしたりと、新しい試みが行われているのも面白いところ。

この背景には当然、それだけの規模の観客がいるわけです。一定の需要があるマーケットだからこそ、様々なカンパニーも集まってくるし、実験もできる。それに引き寄せられて人材も集まるし、観客もやってくる。その意味で、ロンドンはバレエ(をはじめとした様々な劇場アート)の世界的なハブ都市になっているのではないかと思います。

③ 公園が充実。特に芝生に座って気持ちいい。

ロンドンは町中に大小、様々な公園があるのですが、5月になると一斉に人々が芝生の上に座り込み始めます。緯度が日本よりもかなり北のため、冬は夜が長く、3時には真っ暗になってしまいます。なので、冬の間は皆、日照に飢えてるはずです(実際、日光を浴びないと生成されないビタミンDは、ロンドンで普通に生活してると欠乏するらしい)。その結果、日差しが気持ちよくて、温度が上がってくる5月くらいになると、居ても立っても居られない、とばかりに、町中の公園の芝生に、人々が集まってただ座って時間を過ごすようになるわけです(追記:妻によると早い時は3月のあったかい日から始まる、とのことでした)。

夏も日本ほど暑くならず、基本的にはさわやかな気候が続くので、8月くらいまではご機嫌に芝生ライフが楽しめるのがいいところです。リージェンツパークでよく、友人と飲みました。日本だと暑すぎてやってられないですが・・・

あと、大きい公園たちは、ジョギングするのも、散歩するのも非常に良いです。

一方、不動産価格が上がりまくる中、これだけのスペースを維持して、宅地に転換しないでいるというのは、ある種の既得権益保護だなあ、という感じもしますが、まあそれも社会としての選択ですね。

④ 多様で寛容。

ロンドンはイギリスの中でも際立って多様性が高く、とにかく英語以外の言語を喋ってる人が町中にいます(もちろん僕と妻もその中に含まれるわけですが)。いわゆるイギリス人、と言われて想像するような見た目の人のシェアはかなり少なく、南欧、東欧、北欧、中東、インド、東アジア、アフリカなどあらゆる地域の人が混ざっているのがロンドンの印象です。まあ、それ自体がどう、ということはないのですが、そういう社会がある、ということを経験できたこと自体は良かったなと。

そして、上のパブのところと共通しますが、それぞれの人が思い思いのスタイルで生きていて、他人からの同調圧力が非常に低いのが特徴です。服装一つとっても、みんな、季節感もスタイルもてんでバラバラです。この季節にはこういう格好をしないと変、とか、今はこれが流行りだから、みたいな感覚は全く感じられません。妻によると「日本ではこんな格好で外出できない、とか思うけど、ロンドンだと気にならない」そうです。この同調圧力の低さは、住んでみないとなかなか感じにくいものかもしれません。

一方で、妊婦や老人に親切なのは気持ちいいところ。満員電車だろうと、確実にさっと誰かが席を譲りますし。と、いうわけで、全く他人に関心がないわけでもないのです。もちろん、日本の満員電車とは混み方のレベルが違うので、心の余裕があるのかなあ、とは思いますが。

⑤ 食事が多様で、(実は)美味しい。

イギリス料理といえば、あまり良い評判はありません(し、実際にとても残念な食事をだす店もいっぱいあります)。が、ロンドンの食は非常に充実している、と言い切って良いでしょう。4年間の間に様々な友人が仕事や遊びに来ましたが、全員、口を揃えて「こんなに美味しいと思わなかった」と言ってました。イギリス人の友人に聞いても、この10年でロンドンの食のレベルはすごく変わったそうで。BBCをはじめ、各局で料理番組もたくさんやってますし、総じて食に対する関心が上がって社会として変化しているようです。

特に良いのは、中華、インドはもちろんのこと、地中海料理(モロッコやチュニジアからリビアやシリア、トルコ、ギリシャにかけてのエリアを大雑把にまとめてます)が非常に充実していることです。日本ではあまり食べる機会がないかもしれませんが、個人的にはとても舌に合いました。あと、ペルー料理(セビーチェとかうまいです)、アルゼンチン料理(がっつり肉ですね)などなど。4年間の間に、店で食べた後に自宅で作るようになった料理もたくさんあり、めっきり我が家の料理のレパートリーは広がりました。

⑥ 政治が面白い。

イギリスはこの4年間の間に、Brexitを問う国民投票とスコットランド独立を問う国民投票があり、さらには総選挙が二回あり、政治的には激変でした。ただし、それだけで「政治が面白い」と書いたわけではありません。イギリスの政治家は、とにかくスピーチと討論がめちゃくちゃ上手なのです。論理的で、はっきり要点を示し、さらにジョークを言ったり、相手を皮肉ったりと、やりたい放題であります。

議会開催中は、毎週水曜日にPMQ(Prime Minister’s Question Time)がお昼時にBBCで放送されているのですが、僕は毎週、昼食を食べながら見るのを楽しみにしてました。首相が与党野党の議員からの質問に答えるコーナーですが、質問する方も答える方も歯切れがよく、日本の国会中継とはテンポも切れ味も全く違います。

聞くところによると、小学校から、自分の主張を明確に述べた上で、その主張をサポートする証拠や理屈を述べていく、と言うスタイルで作文をする練習を始めるそうです(僕の指導教官(韓国人)が、娘の受けてる小学校でのエッセーの書き方指導を見て、LSEで大学生に書かせるスタイルと本質的に変わらない、といって驚いてました)。イギリスの政治家の、その場でぽんぽんと論理的に話を組み立てて、わかりやすく話すスキルの根底には、若い時からの繰り返されたこういうトレーニングがあるはずで、これは日本の教育と根本的に違うなあ、と感じます(もちろん、これはその教育で成功した少数のエリートの話なので、一様にそれだけでイギリスの教育を褒めることはできませんが)。

⑦ 公共交通機関が充実してて、街を動き回りやすい。

ロンドンの公共交通機関にはバス、地下鉄、オーバーグラウンド(モノレールのような、地上を走っている交通機関)などがあります。これらは全て、TFL(Transport for London)という、ロンドンの広域行政機関の組織が管理しています。TFLはこれら以外にも、バイクシェアなども運営しており、ロンドン全体の交通のデザインと管理を担う組織のようです。

おそらくこういう管理体制のおかげなんだと思いますが、ロンドンは総じて公共交通機関の接続がよく、ロンドンの隅々まで、何らかの公共交通機関で行くことができます。また、バスは深夜も運行しており(もちろん全てのラインではありませんが)、さらに、地下鉄も一部のラインは金曜、土曜日は終夜運転のため、非常に安全かつ、安価に夜でも移動することができます。おかげで、夜のバレエ観劇や、深夜まで飲んだときでも、タクシーに乗らずに自宅に帰れます。東京都市圏に比べれば、街がそもそもコンパクトだ(東京は都市圏としては未だに世界最大級ですからね)というのもありますが、この移動のしやすさは、ロンドンの街としての魅力に大きく貢献していると思います。

⑧ ヨーロッパ中、どこに行くのもすごく安い。

RyanairやEasyjetなどのLLC各社が、ヨーロッパ中の都市とロンドン近郊の空港(ヒースローに加えて、ガトウィック、スタンステッド、ルートン、シティ、などの空港があります)を接続しており、早めに予約すれば数千円で乗れるので、ヨーロッパ中、どこにでも安くいける点は、ロンドンに住む大きな魅力と言って良いかと。

安い → みんなが旅行に気軽に出かける → 規模の生産性が働く → さらにコストダウンができて安くできる、という好循環が回っているのでしょう。各空港のオペレーションも、僕が滞在している4年の間にどんどん効率的になっており、明らかに好循環が回っている様子が見て取れます。

⑨ 酒の量が常に明朗会計

日本とイギリスで酒を飲むときに明らかに違うのは、イギリスでは常に何mlかがメニューに明記されていることです。ビールも1pint(568.26ml)のグラスには、必ず「ここまで注げば1pint」というライン引いてあり、それ以下で売るのは違法です。ワインも、メニューに125mlならいくら、175mlならいくら、と明記してあり、ちゃんと計量メジャーで測って注ぐことが法律で決まっています。

日本の生中やグラスワインは、店によってグラスのサイズが違ったり、注いでくれる量が注文する時点では不明なので、冷静に考えるとかなり不明朗ですよね。それに比べると、イギリスの仕組みは極めて明朗で、気持ちが良いのです。ただ、議員たちがいったいどんな顔してこの法律を議論してたのか考えると、かなり変な感じがしますが・・・

⑩ イモがうまい

さて、最後の項目はまたもや食事の話です。イモはイギリスの国民食でして、何はともあれイモが好きなのがイギリス人であります。フライにしたり、マッシュにしたり、サラダにしたりと、いろいろと食べ方があるわけですが。日本人が米を食べないと落ち着かないように、イギリス人はイモを食べないとダメみたいです。この項目、わざわざ料理の項目と分けて書いたのには理由がちゃんとありまして、とにかく、総じてイモがうまいのです。

おそらくこれには二つの要素があります。まずは、北海道と同じく緯度的に北にあり、ジャガイモの栽培に向いているのでしょう。北海道の農家の方によると、同じイモを育てても、北海道と本州では味が違うそうで。同じような効果があるのではないかと推測してます。あともう一つは、イギリス人はとにかくイモが好きなので、美味しく食べる工夫をしているのではないかと。もちろん、上で書いた通り伝統的なイギリスの料理店の中にはとても残念な味レベルの店もたくさんあるのですが、おいしい店のイモは本当においしい。どうこの気持ちを伝えたらいいか、わからないのですが、とにかくおいしいのです(しつこいですね、すいません)。

 

はい、これで10個です。ほかにもロンドンのいいところはあるような気もしますが、妻と昨晩、振り返りをしてみて、思いついた10個を書いてみました。次は、ロンドンの残念なことベスト8(10個かけるかと思いましたが、8個になりました)についても書きます。お楽しみに。

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投稿者: 吉川克彦(Katsuhiko Yoshikawa)

国際人事・組織論に関する研究者、コンサルタント。PhD in Management(経営学博士)。2017年8月より、上海交通大学安泰経管学院Assistant Professor。 主な研究分野は組織論、人材マネジメント論、国際経営論。研究者への転身前には、コンサルタントとして、様々な業界の日本企業の人事・組織変革を支援。 1974年兵庫県西宮市生まれ。1998年京都大学経済学部卒。同年リクルートに入社。人材、組織に関する研究、コンサルティング、サービス開発に 従事。2013年に同社を退社。2011年にLondon School of Economics and Political Science にてMSc. Management, Organisations and Governance(Distinction) および、PhD in Management (Organisational Behaviour and Employment Relations Track)を修了。 ご連絡はこちらまで。 katsuhiko78@gmail.com / k.yoshikawa@lse.ac.uk

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