中国でアカポス(アカデミックポスト)に就職し、現地に着任して、現在は4日目の朝です。

先週の月曜日(9/4)にロンドンのビザセンターでビザの申請をして、その日に引越しの荷物をイギリスのヤマト運輸に引き取りに来てもらい、水曜日(9/6)にビザを受け取り、同日、飛行機のチケットを押さえ、ロンドンの住居を引き払ってAirbnbの仮住まいに移動、そして、日曜日(9/10)にロンドンを立ち、月曜日(9/11)の朝8時に到着して、同日10時に大学の人事に到着を報告。怒涛の1週間でロンドンから上海への赴任を果たしたわけであります。

IMG_1744

大学の方は、ちょうど今週から新学期が始まっており、なんとか滑り込みで新学期のスタートに間に合いました。まあ、就労許可とビザを取るのに時間がかかりましたので、最後はダッシュで詰めた、という感じですね(その件についてはイギリス留学から中国の大学に就職する(その1)ビザ獲得への長い道のりと、イギリス留学から中国の大学に就職する(その2)日本国外からのビザ取得に関するあれこれをご覧ください)。

上海交通大学は2学期制を取っており、9月から1月が上半期、春節(中国の正月)を挟んで2月から6月が下半期、というスケジュールになっています。中国の大学が全部同じなのかはよくわかりませんが。僕のテニュアトラックの契約は最初の半期については授業はしなくて良い契約なので、本格的に教務に関わるまでにはまだだいぶ余裕があります。

と、いうわけで、最初の1週間は特に仕事もありませんので、他の新採用の講師陣と肩を並べての導入研修と、仕事のためのインフラの整備、家探しが今週の業務、ということになります。やったことは以下のとおり。

1日目:人事にて各種書類を提出(ビザのコピーとか、LSEの博士の学位証書のコピーとか)。仮発行の入館証を受け取り。諸連絡および、今後のスケジュールを簡単に打ち合わせ。

その後、大学が用意してくれた近隣のホテルにチェックイン。昼食を食べた後、事前に連絡を取ってあった現地の不動産屋と、大学近辺のアパートを見て回る。

2日目:終日、導入研修。ついに本格的に中国の洗礼を浴びることになります。

研修内容としては、中国における研究予算のあり方、各種論文データベースや統計データベースへのアクセス、学内のITシステム、購買の仕組み、海外出張のルール、経費清算のやり方などなど。内容はまあ、普通の新人研修ですが、オール中国語。スライドの中身は推測できますが、喋ってることは95%不明です(詳しくは後述します)。

途中のランチはビジネススクールのDean(学長)とかAssistant dean(副学長)とかと一緒に、学内の食堂の2階の宴会用スペースの回るテーブルで中華でした。これはさすがに、周りも配慮いただき、半分英語、半分中国語でした。雰囲気は日本と似てますね。えらい人が会話を先導して、若手は遠慮してあんまり話さないです。

そして、研修終了後、IT部門でPCの用意ができてる、というので行ってみると、案の定、PCには中国語版のウィンドウズがインストールされており、それではさすがにどうにもならん、ということで英語版をインストールし直してもらうことに。翌日出直しになりました。

研修が終わった後、昼間、近隣を散策していた妻の情報を元に、上海でも有数のショッピングエリアである、徐家汇を散策。交通大学からは徒歩圏内ですが、巨大な交差点のどちらを向いてもでかいデパートがある、という派手なエリアです。

IMG_1853

3日目:午前中は大学近くにある中国銀行に赴き、口座開設。兎にも角にも、給与を受け取る口座を確保しないと始まりません。驚いたのは、中国銀行の店頭や窓口の担当者が普通に英語で話せることです。あと、審査はかなり雑いです。僕が上海交通大学で働いている、というしっかりしたエビデンス(契約書とか名刺とか)も、住所を証明する資料も何にもないのに、あっさり口座開設できました。ちなみに、家族カードは作れない、と窓口で言われたので(これは未だに本当か疑ってるのですが)妻の口座も開設しましたが、彼女もパスポートだけの情報であっさりと口座開けてました。

その後、僕の所属する学部の学部長と他数名でランチの後、別の不動産屋とさらに不動産屋巡りをしました。

<感想>

来てみてわかったのですが、僕以外の新任のAssistant Professorは全員中国人でした。博士こそアメリカ、カナダ、香港の大学で取得しているものの、国籍は中国人であり、当然ながら中国語ぺらぺらです。就職活動をしている段階では、「上海交通大学、また、安泰経済管理学院として国際化を進めていて、あなたの採用もその一環だ」と聞いていましたが、なかなかそう簡単には国際化とは進まないものだなあ、という印象です。

導入研修は、全て中国語だったわけですが、幸い、コンサルで中国の経験があったので、スライドに表示される内容は7割がた理解できました。が、当然のことながら、喋っている内容は一言もわかりません(研究も授業も英語でやる前提で僕は採用されてますから、学ぶ気はあるけど、今はまだ中国語はさっぱりできません)。まあ、スタッフ部門の皆さんも普段は中国人ばっかり相手にしてるわけで、いきなり僕のためだけに英語で資料を準備してってわけにも、そりゃいかんわなあ、という感じです。こういうことになるだろうなあ、とは予測はしてましたが、いきなり洗礼を受けました。

研修を受けながら、「ばりばりドメスティックな日本企業が国際化するぞ!って言って、外国人採用すると、こういうことがおきるんだろうなー」と思って、なかなか感慨深かったです。国際経営論は僕の専門の一つで、「言語」を巡る問題はまさに現在の学会でホットなトピックなのですが、まさにその最前線に乗り込んだ気分ですね。同期採用の連中が気のいい連中で、それなりにサポートはしてくれたので、ほぼ、内容はキャッチアップできてると思いますが、まあ、何か事故は起きるでしょう(笑)。

一方、中国銀行は、窓口の担当者が片言とはいえ、普通に実用レベルの英語を喋っており、中国は本当にあなどれないなあ、と驚いたわけであります。日本の金融機関は、そのあたり、どうなんでしょうねえ。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください