日本企業における「全てを語らない」コミュニケーションの、海外展開における問題。

日本のコミュニケーションの特徴の一つに、「あうんの呼吸」と「空気を読むこと」があります。平易な言葉で言い換えれば「言わなくてもわかるよね」「みなまで言わせるな」ということです。

日本企業での上司と部下の会話はそれが顕著です。例えば、「あれ、やっといて」と言われたら、その背景にある諸々の状況や、どれくらいの状態に仕上げればいいのか、といったことを推測した上で業務を進め、(報告を口に出して求められなくても)上司が「あれ、どうなった?」と聞く前に「例の件、こう進めてます」と報告するのが、当たり前です。逆に、それができないと、「あいつは何でもかんでも説明しないとできない」「まだまだ一人前とは言えないな」という扱いを受けがちです。

会議でも似たようなことがありますね。持ち込まれた起案に対して、様々な発言が出る一方で、結果として何が決まったのか、どの意見には賛同が得られなかったのかは明確に言語化されない。しかし、起案者はそれをまるっと持ち帰って、議論の様子や展開、参加者の力関係などを考慮しつつ、次の会議に向けて準備をする。そんなことも、様々なな企業で起きているのではないでしょうか。

いずれにせよ、口に出して語られたことが全てではなく、語られない、隠れた意図を読み取ることが重要だ、というのが日本のコミュニケーションの特徴です(そして、中国に着任して実感したのですが、これは日本だけの特徴ではなくて中国も似てます。詳しくは別途、書きます)。

 

これは、海外拠点のマネジメントにおいて大きな障害になります。というのも、このコミュニケーションが成り立つ前提には、「同じ組織で長い時間を過ごしてきたことによる文脈の共有」と、「ネイティブでの日本語力」があるからです。

 

そもそも、日本では、組織における「仕事のやり方、段取りの組み方」「仕事の評価の基準」「個人に求められる立ち回り」などを、新入社員が、周りの先輩の動きを見たり、彼らから怒られたりしながら、数年間かけてじわーーーーーっと学んでいきます。その結果、「全てを語らない」コミュニケーションでも、裏に隠れた意図を読み取ることができるようになっていきます。これにより、管理職は「全てを語らない」でも、部下が意図を読み取ってくれる、という非常に嬉しい環境で仕事をすることが可能になります。

(余談になりますが、僕は、日本で様々な会社が新卒採用のメリットとして「他社に染まってない人材を、自社の人材に育てることができる」という風に語る背景には、この辺りも理由の一つにあるのではないかと思っています。もちろん、新卒採用には他にも様々な意味があるのですが、ここでは割愛します)

一方、海外拠点の従業員には、こうした「仕事のお作法」や「組織における当たり前」を、日本の組織で長い期間働いた人たちほど時間をかけて学ぶチャンスがありません。

なので、上記のような「共通の認識」があることを前提に行われる「全てを語らない」コミュニケーションを、日本の本社での勤務経験もない海外の現地従業員に期待するのは、どだい無茶な話なのです。彼ら、彼女らからすれば、解き方のわからない暗号を投げかけられているようなもので、どうにもならないだろうと思われます。

さらに、この問題を難しくするのは、言語の問題です。

ほとんどの海外拠点の従業員は、日本人のようなネイティブレベルの日本語力を持っていません(例えば中国は、世界の中でも例外的に、日本語を扱える人材が採用しやすい国ですが、それでも、ネイティブレベルで日本語を扱える人は稀です)。そして、日本人の側も、同じように、ネイティブレベルの英語力を持っている人は稀です。

そのため、日本語を共通語にするにせよ、英語を共通語にするにせよ、どちらか、あるいは両方が、「中途半端な語学力しか持っていない」状態でコミュニケーションをとるわけです。

日本人が、「英語ネイティブで、ぽんぽん英語で話を進める外国人上司」と話しながら、「空気を読め」と求められることを想像してみてください。よっぽど英語が得意ない人でない限り、「相手の話すこと」を理解し、「自分の言いたいこと」を話すのに精一杯で、相手が言葉にしていない隠れた意図を読むのに向けられる脳のキャパシティはかなり限られてしまうはずです。日本語のできる外国人が、(日本語ネイティブの)日本人と話す場合も同じようなことが発生するはずです。

逆に、「日本人が英語を使う」場合はどうでしょうか。このケースも問題は解決しません。日本語ですら、自分の考えていることを全て明確に言葉にしてコミュニケーションをしていない人が、英語でそれをできるとは思いにくいですよね。

これらの障壁を考えれば、日本人の「相手は全部言わなくても空気を読む」ことを前提にした「全部を語らない」コミュニケーションを、現地の従業員が理解できないのは、むしろ当たり前のことだ、と言えます。

これは、日本人が赴任者として現地に赴く場合であれ、本社にいる日本人が海外拠点の現地従業員と遠隔でコミュニケーションを取る場合であれ、共通して起こる現象です。驚くべきことに、数十年の海外展開の歴史を持つ、日本を代表するようなグローバル企業ですら、こうした現象は日常的に起きています。

解決策は・・・単純ではありません。なぜならば、日本で普通に暮らして育つと、「全てを語らない」「空気を読む」ことを学び、そのスキルを磨くことになるからです(逆に、それができないと、「いらないことを言う」「空気が読めない」と言われ、疎外されたりしますし)。また、一度、共通認識が育まれてしまえば、圧倒的にコミュニケーションが速い、というメリットもあります。

ですが、筆者が海外で成果を上げている日本人赴任者の方に伺う限り、少なくとも海外の人と話す場面においてはこうしたコミュニケーションスタイルを捨てて、「可能な限り、自分の考えを明確に表現する」スタイルを適応したほうが、成果が出やすい、ということは間違いがないようです。

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業務スタート。

本日がちょうど中国到着から14日目です。

先週の木曜日(到着から4日目)にどこに住むか決め、金曜日には新居の契約を行い、大家にデポジット(日本でいう敷金みたいなもので、きれいに部屋を使えばちゃんと帰ってくる)を支払い。日曜日の午後にホテルを引き払い、無事引越しを済ませました。まだ若干ビザ周りの手続きは続いていますが(後日まとめます)、ほぼ、最初の1週目で生活のベースを整えることができました。人事と学部のスタッフ、あとは家探しを支援してくれた不動産屋さん(日朋住宅さんという現地で日本人ターゲットにやってらっしゃる会社です。非常に丁寧でしっかりしたサービスで、なおかつ、フィーもリーズナブルなので、上海で部屋探しされる際にはオススメです)に感謝であります。

で、先週の月曜日(到着から7日目)からは、通常の勤務をスタートしております。僕の勤務先の安泰経済与管理学院(「与」は、英語のandの意味。英語だとAntai College of Economics and Management)のビルの様子はこちら。 比較的最近できたビルだそうで、結構きれいです。経済学、ファイナンス、アカウンティング、マーケティング、組織管理、オペレーション管理、情報システムなどの学部に分かれており、全体で100人強の教員が所属してます。このキャンパスは修士・博士の学生を対象にした授業が行われており、学部生は別のもっと広いキャンパスで授業が行われています。

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そして、僕の研究室はこのビルの14階にあります。部屋の様子はこんな感じ。この部屋で研究や授業の準備をするほか、生徒の個別指導(質問を受けたり卒論のアドバイスをしたり)をします。LSEの標準的な研究室のサイズと比べると1.5倍くらいの広さなので、比較的恵まれている、と言って良いかと。

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最初の半期は授業を担当しないので、現在は粛々と研究を始めてます。ロンドンから継続してやっているプロジェクトがいくつもあるので、論文を書いたり、データの分析をしたり、新しい調査の設計をしたりですね。ただ、ご覧の通り、研究室も空っぽですし、大学の入館カードもまだ仮発行のものを使っていたり、名刺もまだ出来ていない状態ですので、まだまだ業務環境のセットアップには時間がかかります。

研究用の設備としては、PC用の外付けディスプレイ、プリンター、あとは、壁に貼り付けられるホワイトボードのようなものを購入予定。ディスプレイとプリンターについては、IT部門で購買を依頼。自分で選んでもいいのですが、こだわりがあんまりないのと、慣れない中国のサイトで探すのも時間が勿体無いので、プロにお任せです。ホワイトボードは、上海で研修会社をしている友人にいい商品を紹介してもらえたので、そちらを導入予定。

大学の入館カードと名刺は、事務手続き待ちです。日本でもよくある仕組みですが、学内の食堂はほぼ全て、入館カードで支払う仕組みになっている為、カードが手に入らないと食堂で飯が食べられないのであります。幸い、安泰 のビルの一階に入っているスターバックスは現金払いに加えて、微信や支付宝などのスマホ決済(中国では非常に一般的な支払手段)でも支払えるので、そちらでクロワッサンサンドなど買ってごまかしております。

 

最後に、仕事環境の重要な一部であるネット環境について少々 。 みなさんご存知の通り、中国ではGoogle, Facebook, Dropboxなどのアメリカ発のウェブツールはブロックされていて、普通には使えません。

ただ、さすがに大学は特別扱いなのか、Google Scholar (世界中の論文が検索できるツール)は使えます。また、Web of Knowledge(これも、論文検索ツール)も問題なく使用できました。各種の論文データベースと大学の図書館が契約を結んでいるので、ほぼ、僕の研究分野で必要になる論文は読めそうです。と、いうわけで、数日使ってみた限りでは、基本的な研究環境としては大きな問題はなさそうです。もちろん、中国から海外のインターネットへの接続容量はかなり限られているらしく、どうしてもロンドンで使っていた頃より若干遅いのは否めませんが、不満のないレベルではあります。

イギリスやアメリカ、日本の共同研究者とはファイルをDropboxで共有していますが、アクセスするには工夫が必要です。まあ、中国で働く上では避けられない制約なので、しょうがないですね。

 

また、研究室での仕事に加えて、中国にある日本企業に訪問したり、日本の協力企業とのテレビ会議があったりもしております。2月以降の下期(中国は大学の年度は9月始まり)からは授業も始めないといけないので、それに向けてどの講座を担当するかの打ち合わせも来週から始めていく予定です。

上海でのアカポス就職、最初の3日間が終了。早速、中国の洗礼を受ける。

中国でアカポス(アカデミックポスト)に就職し、現地に着任して、現在は4日目の朝です。

先週の月曜日(9/4)にロンドンのビザセンターでビザの申請をして、その日に引越しの荷物をイギリスのヤマト運輸に引き取りに来てもらい、水曜日(9/6)にビザを受け取り、同日、飛行機のチケットを押さえ、ロンドンの住居を引き払ってAirbnbの仮住まいに移動、そして、日曜日(9/10)にロンドンを立ち、月曜日(9/11)の朝8時に到着して、同日10時に大学の人事に到着を報告。怒涛の1週間でロンドンから上海への赴任を果たしたわけであります。

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大学の方は、ちょうど今週から新学期が始まっており、なんとか滑り込みで新学期のスタートに間に合いました。まあ、就労許可とビザを取るのに時間がかかりましたので、最後はダッシュで詰めた、という感じですね(その件についてはイギリス留学から中国の大学に就職する(その1)ビザ獲得への長い道のりと、イギリス留学から中国の大学に就職する(その2)日本国外からのビザ取得に関するあれこれをご覧ください)。

上海交通大学は2学期制を取っており、9月から1月が上半期、春節(中国の正月)を挟んで2月から6月が下半期、というスケジュールになっています。中国の大学が全部同じなのかはよくわかりませんが。僕のテニュアトラックの契約は最初の半期については授業はしなくて良い契約なので、本格的に教務に関わるまでにはまだだいぶ余裕があります。

と、いうわけで、最初の1週間は特に仕事もありませんので、他の新採用の講師陣と肩を並べての導入研修と、仕事のためのインフラの整備、家探しが今週の業務、ということになります。やったことは以下のとおり。

1日目:人事にて各種書類を提出(ビザのコピーとか、LSEの博士の学位証書のコピーとか)。仮発行の入館証を受け取り。諸連絡および、今後のスケジュールを簡単に打ち合わせ。

その後、大学が用意してくれた近隣のホテルにチェックイン。昼食を食べた後、事前に連絡を取ってあった現地の不動産屋と、大学近辺のアパートを見て回る。

2日目:終日、導入研修。ついに本格的に中国の洗礼を浴びることになります。

研修内容としては、中国における研究予算のあり方、各種論文データベースや統計データベースへのアクセス、学内のITシステム、購買の仕組み、海外出張のルール、経費清算のやり方などなど。内容はまあ、普通の新人研修ですが、オール中国語。スライドの中身は推測できますが、喋ってることは95%不明です(詳しくは後述します)。

途中のランチはビジネススクールのDean(学長)とかAssistant dean(副学長)とかと一緒に、学内の食堂の2階の宴会用スペースの回るテーブルで中華でした。これはさすがに、周りも配慮いただき、半分英語、半分中国語でした。雰囲気は日本と似てますね。えらい人が会話を先導して、若手は遠慮してあんまり話さないです。

そして、研修終了後、IT部門でPCの用意ができてる、というので行ってみると、案の定、PCには中国語版のウィンドウズがインストールされており、それではさすがにどうにもならん、ということで英語版をインストールし直してもらうことに。翌日出直しになりました。

研修が終わった後、昼間、近隣を散策していた妻の情報を元に、上海でも有数のショッピングエリアである、徐家汇を散策。交通大学からは徒歩圏内ですが、巨大な交差点のどちらを向いてもでかいデパートがある、という派手なエリアです。

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3日目:午前中は大学近くにある中国銀行に赴き、口座開設。兎にも角にも、給与を受け取る口座を確保しないと始まりません。驚いたのは、中国銀行の店頭や窓口の担当者が普通に英語で話せることです。あと、審査はかなり雑いです。僕が上海交通大学で働いている、というしっかりしたエビデンス(契約書とか名刺とか)も、住所を証明する資料も何にもないのに、あっさり口座開設できました。ちなみに、家族カードは作れない、と窓口で言われたので(これは未だに本当か疑ってるのですが)妻の口座も開設しましたが、彼女もパスポートだけの情報であっさりと口座開けてました。

その後、僕の所属する学部の学部長と他数名でランチの後、別の不動産屋とさらに不動産屋巡りをしました。

<感想>

来てみてわかったのですが、僕以外の新任のAssistant Professorは全員中国人でした。博士こそアメリカ、カナダ、香港の大学で取得しているものの、国籍は中国人であり、当然ながら中国語ぺらぺらです。就職活動をしている段階では、「上海交通大学、また、安泰経済管理学院として国際化を進めていて、あなたの採用もその一環だ」と聞いていましたが、なかなかそう簡単には国際化とは進まないものだなあ、という印象です。

導入研修は、全て中国語だったわけですが、幸い、コンサルで中国の経験があったので、スライドに表示される内容は7割がた理解できました。が、当然のことながら、喋っている内容は一言もわかりません(研究も授業も英語でやる前提で僕は採用されてますから、学ぶ気はあるけど、今はまだ中国語はさっぱりできません)。まあ、スタッフ部門の皆さんも普段は中国人ばっかり相手にしてるわけで、いきなり僕のためだけに英語で資料を準備してってわけにも、そりゃいかんわなあ、という感じです。こういうことになるだろうなあ、とは予測はしてましたが、いきなり洗礼を受けました。

研修を受けながら、「ばりばりドメスティックな日本企業が国際化するぞ!って言って、外国人採用すると、こういうことがおきるんだろうなー」と思って、なかなか感慨深かったです。国際経営論は僕の専門の一つで、「言語」を巡る問題はまさに現在の学会でホットなトピックなのですが、まさにその最前線に乗り込んだ気分ですね。同期採用の連中が気のいい連中で、それなりにサポートはしてくれたので、ほぼ、内容はキャッチアップできてると思いますが、まあ、何か事故は起きるでしょう(笑)。

一方、中国銀行は、窓口の担当者が片言とはいえ、普通に実用レベルの英語を喋っており、中国は本当にあなどれないなあ、と驚いたわけであります。日本の金融機関は、そのあたり、どうなんでしょうねえ。

4年間のロンドン生活で、僕たちが残念に感じたこと ベスト(ワースト?)8

昨日は4年間のロンドン生活で僕たちが好きだったこと ベスト10を書きましたが、今日はその続編、残念だったことベスト(ワースト?)8です。

日本のメディアには、よくこの国はこんなに素晴らしい、みたいな情報が載ってたりしますが、世の中に完璧な国など存在するはずもなく、良いところもあれば残念なところもあります。実際、ロンドンに住んでいると、あー、これは残念だなあ、と思うことも沢山ありました。おそらく旅行だと気づかないところに目が向くのが、何年か生活してみることの良さかもしれません。

と、いうことで、公平を期すべく、残念なこともまとめておこうと思います。10個書こうと思ったのですが、残念ながら?8つしか思いつかなかったので、無理にひねり出すよりも、それで止めておこうと思います。

 

① ゴミをその辺に捨てる人が多い。

ロンドンで生活して、まず気になるのは、道にゴミがいっぱい落ちていることです。ペットボトル、お菓子の包み紙、テイクアウトの食べ物のトレイに始まって、(意味がわかりませんが)靴下が一足とか、着古したセーターとか。観光エリアはそうでもありませんが、普通に生活するエリアだと、普通に道にゴミが散乱してます。

あとは、電車の中でも食べ残しを席に放置したり、読み終えた新聞を床や椅子にそのまま置いていったりとかも日常的な風景です。とにかく、ゴミ箱があるところまで我慢して持って行って、自分で捨てる、ということをしない人が沢山いるのです。ちなみに、これはスターバックスやマクドなどのお店でもそうです。テーブルの上に食べ散らかしたものを片付けずに放置する人がかなりいます。

正直言って、「自分の出したゴミには自分で最後まで責任を持って片付ける。他人に迷惑をかけない」という感覚が染み付いている日本人からすると、とっても残念な気持ちになります。

 

② トイレの使い方が汚い。

①に引き続いてですが、トイレの使い方が残念なのもロンドンの特徴。なぜそうなるのかわかりませんが、トイレットペーパーとか、手を拭くペーパータオルとかが、床にいっぱい落ちている、というのがよくあります。これは僕も妻も、日常的に出くわしましたので、男性トイレ、女性トイレ問わない現象です。

仮に、自分が落としてしまったとすれば、(多少汚いかもしれないけど)自分で拾って、あとで手を洗えばいいのに、と思うのですが、それをしない人が沢山いる、ということではないかと思います。もちろん、使った後に流してないとか、そういうことはないので、衛生面でひどい、という話ではないのですが、「自分のやったことに最後まで責任持とうよ、次に使う人が不愉快じゃないの」と、毎度毎度、残念な思いになりました。

ちなみに、トイレの設備も残念なことが一つ。日本(や他の多くの先進国の場合)、トイレの個室のドアには、バッグなどがかけられるフックが付いていることが一般的だと思いますが、イギリスのトイレはこれがないか、壊れているケースの出現率がとにかく高いのです。うーん、残念。

 

③ 公共サービスの信頼性が低い。

まず、鉄道がとにかく遅れたり、キャンセルになったりします。よくあるのは信号故障ですが、それに加えて、車両故障とか、運転手が欠勤してて人手が足りなくて車両が走らせられないとか、様々な理由で電車が予定通りにこないのです。僕たちはロンドンの市内に住んでいて、「好きだった点」にも書いた通り、市内の公共交通は比較的安定しているので良かったのですが、郊外のベッドタウンとロンドンをつなぐ鉄道(National Railと言われるもの)は、かなり信頼性が低いです。

特に、ロンドンの南側のケント地方とかを走っているサウザンレイルウェイは、この春から夏は経営陣と組合の対立で列車の遅延やキャンセルが相次ぎ、普通に毎日会社に通うのが大変、という悲惨な状況が半年くらい続いておりました。

もう一つ、イギリスで残念なのは郵便です。お金を払って速達にすればちゃんと着きますが、普通の料金で送ると、1週間2週間音沙汰なし、みたいなことが普通に起こります。また、日本からEMSで送ってもらった本が、自宅に「不在届け」も届いていないのに、「局預かりにしていたでのですが、受取人が引き取りに来なかったので、送り主に戻します」というメッセージとともに、送り主に返送されてしまった、というケースもありました。こういうことを経験すると、日本の公共サービスって本当にレベル高かったんだなあ、と感じます。

 

④ 家の施工レベルが低い。

これはなかなか、分かってもらいにくいと思うのですが、家の細かいところの施工が雑なのです。例えば、電気のプラグを差し込む金属パーツがきちっと壁に固定されてなくてグラグラしてて、隙間からホコリが入り込みそうとか、お風呂のバスタブの周りのパッキングがちゃんとしてなくて、隙間から水がどこかに吸い込まれていくとか、壁のペンキがちゃんと塗られてなくてところどころムラがあったり、フローリングにペンキがはねちゃってたりとか、そういう話です。

これはどうも、こういう作業をする職人さんたちが、「素人に毛が生えた」くらいの人の比率が高く、きっちりプロフェッショナルにやってくれる人は価格が高いので、結果的に、素人仕事の比率が高い、ということに起因するようです。結果的に、「自分でやっても変わらないから自分でやる」という人も多いようで。僕たちの大家はまさにそのパターンでした。

妻の英語の先生(バリバリのイギリス人)に妻が聞いたところによると、とにかくそういう業者さんたちを雇う際は、自分できちんと選んで、全てのスケジュールを自分で組んで、作業を監督していかないと、ろくなことにならない、というのが、現地の感覚だそうです。

 

⑤ 医療の待ち時間がすごく長い。

イギリスは、国民皆保険で、誰でも無料で医療サービスを受けられます。これは素晴らしい仕組みなのですが、残念ながら無限に予算があるわけではなく、なおかつ金融危機以降はイギリスは緊縮財政を続けてます。この結果、何が起きるかというと、待ち時間が膨大に伸びるのです。

普通にかかりつけ医のアポイントを取ろうとすると(あ、まず、アポイント無しでは、かかりつけ医にも診察してもらえません)、2週間後、みたいなことが普通に起こります。そして、そんなの待ってられないから、と、大きい病院の救急コーナー(A&E=Accident and Emergency)に行くと、3時間待ちとががザラです。

これを回避しようとすると、プライベート医療という、国の保険の適用外の医療サービスもあるのですが、こちらは非常にお金がかかります。まあ、現実的にはしょうがないのだと思いますが、とにかくお金か時間を使わないとお医者さんに会えない、というのは、かなり大変です。

(注釈: 医療関係の友人からコメントがあったので補足ですが、イギリスのこの現状はやむを得ないことでもあります。医療は低コスト、アクセスの良さとクオリティを全て同時に達成することは不可能なので。イギリスは比較的、低税率の割に高齢化が進んでいるので、限界ギリギリのアクセスレベルで頑張ってるわけです。日本は医療関係者の献身的な努力で三つが比較的いいレベルで維持されてますが、限界間近なのは報道でもお馴染みですね)

⑥ レストランでのサービスレベルがまちまち。

レストランのサービススタッフですが、愛想はたいてい良いのですが、気が利かない人が多いなあ、というのが印象です。声をかけないとお皿を下げてくれなかったり、まだ食べてるのにやたらと皿を下げたがったりとか。注文したのに忘れられていて、こちらから声をかけると「なんだっけ?」と確認してきたりすることも、まま起こります。あとは、お支払いはテーブルでのカード決済がほとんどですが、声をかけても延々待たないとカードの決済端末を持ってきてくれない、油断すると忘れられている、ということもよく起こりました。

妻によると、「とにかく視野が狭い」という印象だそうで。彼女曰く、「自分だったら、料理を出しに行くときに、周りのテーブルを確認して、空いてるお皿を持って帰るとか、テーブル片付けるとか、帰り道でできることを考えながら動くけど、彼らはそういう風に周りを見てないと思う。目的だけ果たして、ついでにやれることを考えてないんだと思う」という観察でした。

もちろん、お店によっては素晴らしいサービスの店もありますし、個人できちっとやっている人もいるのですが、ばらつきが非常に大きく、結果的に全体的な平均値は低い、というのが、ロンドンのサービスの残念なところです。料理は美味しい店が多いだけに、勿体無いのです・・・。

 

⑦ 料理の下味がつけられない(のが伝統)。塩コショウよりも砂糖が多用される。

これは、美味しい店ではなく、普通の伝統的なパブとかに行くと起きる現象なのですが、イギリスの料理人はどうも、お肉やお魚に下味をしっかりつける、という感覚が欠如している人が多いようです。

たとえば、フィッシュアンドチップスのような魚の揚げ物を作るにしても、日本の感覚からすると、白身魚にちゃんと下味をつけて、それから衣をつけてあげたくなりますが、そういうことがまったく行われないままに、ただ、衣をつけてあげてあるのが一般的です。ローストや、ステーキでも同様でして、とにかく素材をそのまま焼いて、あとは食べる人が塩をふるなり、ソースをつけるなりご自由に、という店が散見されます。ヨーロッパの他の地域に行くと、まったくそういうことはない(例えば、ドイツとかオーストリア、フランスだと、必ず肉にせよ魚にせよ、しっかり味が付いてる印象です)ので、イギリス特有の味覚ではないかと。

あとは、お砂糖がとにかく大好きなのもイギリスの特徴でして、スーパーなどで売っているサラダや、出来合いのお惣菜などは、日本人の感覚からすると、塩味が足りなくて、とにかく甘い、というのが多いです。これは次の話にも関係するのですが。

 

⑧ (かなり立派な)肥満が多い。かつ、子供もぷくぷく。

肥満といえばアメリカが有名ですが、イギリスもかなり本格的なオーバーウェイトの方が沢山街を闊歩しています。大陸ヨーロッパ側に旅行に行って、ロンドンに戻ってくると、目に見えて横幅の大きな人が増えるのです。実際、統計的に見ても、イギリスはヨーロッパで最も肥満度が高い国の一つです。

まあ、大人になってる人はライフスタイルの選択ですから、別に個人の勝手といえば勝手なんですが、子供の肥満が多いのは本当に残念だなあ、と感じます。一家揃って、ぷくぷくもちもちで、得てして甘い砂糖たっぷりのドリンクをスーパーでたっぷり買ってたりするので、明らかに親の影響だと思います。

これについては、政策として「甘いドリンクに税金をかけて、砂糖の摂取量を減らそう」とか、「スーパーやメーカーに規制をかけて、砂糖の使用量を減らさせよう」とか、そういう議論が盛んに行われております。「いや、個人が意識して砂糖をとりすぎないようにして、子供のしつけの一環として甘いドリンクとかを飲ませないように親がちゃんとすればいいんじゃなの?」という疑問もわくのですが。

同じくイギリスらしいなあ、と感じるのは、かなりのボリューム感の体の皆さんがテレビで、「太っていることを、悪いこと、問題だ、として扱うコミュニケーションを政府やメディアが行うのは許せない。誰もが自分の体に尊厳を持てるよう、肥満に対するネガティブな扱いは、社会的に禁止すべきだ」というキャンペーンをやってたりすることです。「好きなこと」の項目でも書きましたが、イギリスはとにかく、一人一人が自由に生きる、同調圧力や社会的なプレッシャーをかけられたくない、という風潮が強いです。その辺りが、「肥満を社会問題として扱うこと」へのこうした反応にも現れているように感じらえます。日本では「周りから変に見られたら恥ずかしい」という感覚が、個人の行動に大きな影響力を持ちますが、それとは大きく違うドライブで動いている社会だ、ということですね。なので、「個人が自制する」アプローチの働きかけは、肥満への対策にならないのだと思います。

 

と、いうわけで、ロンドン生活で残念なこと8つでした。総じて、一人ひとりが自由に生きていることの裏返し、という面が多いように思います。日本の場合は、全てが秩序立っていて、安心できるのですが、その一方で、「こうしないといけない」というソーシャルプレッシャーが強くて、息苦しさにつながってると思います。一方、ロンドンの場合、そういうプレッシャーから自由であることの代償として、ばらつきが大きくて、きちっとしてない部分が社会のそこかしこに現れてるのでしょう。

トータルで見ると、残念な面もあるものの、楽しかったなあ、というのが妻と私の正直な感想です。人種差別を意識することもほとんどなく、また、犯罪やテロなどの危険を感じることも幸いありませんでしたし。私たちが住んでいたエリアは、日本人に人気のエリアではありませんでしたが、安全で、良い隣人にも恵まれて、楽しく過ごせたのは、非常に良かったです。

4年間のロンドン生活で僕たちが好きだったこと ベスト10

僕と妻は、2013年から今まで、ちょうど4年間ロンドンに住んできました。いよいよこの日曜日にロンドンを去って、上海に引っ越すことになりますが、本ポストは、僕たちがロンドンについて好きだったこと、ベスト10についてまとめます。この10個のポイントについては間違いなく、将来、懐かしい気持ちになるだろうなあ、と思います。

ちなみにベスト10といってますが、順序は適当で、10個思いついたことを書いてるだけです。いくつかはロンドンに限った話ではなくて、イギリスについての話ですが、まあ、その辺はご容赦を。

後ほど別の投降で、ロンドンについて残念だったこと ベスト(ワースト?)10も同じく書きますね。そっちの方が面白いかもしれませんが、まずはポジティブな方から行きましょう。

① パブでの気楽な飲み。

パブのいいところは、カウンターで飲み物を買ったら、あとはどう飲んでも自由なことです。席に座っても、カウンターで立ち飲みでも、その辺に立ったまま飲んでも、はたまた店の前の道端で飲んでてもいい。ロンドンは比較的気候が穏やかなので、年中比較的外で飲んでも気持ちいいのが良いところです(とはいえ冬の寒い日に、コート着て外でビール飲んでるのを見ると、未だにどうかと思いますが)。とにかく、パブの前の道中に立って飲んでいる人がいるのは、ロンドン特有の風景ではないかと。

そして、パブでの飲み会は、みんながそれぞれバラバラに集まってきて、勝手に自分の飲みたいものを買って、気が向いたら他の人にもおごって、自分が帰る時間になったら帰る、という適当ぶりであります。最初はあまりのオーガナイズのされてなさっぷりに驚きましたが、今となっては、これも個人の自由が好きなイギリス文化らしさかと感じます。とにかく気楽なのが良いところです。

② 美術館と観劇が超充実。

ロンドンといえば大英博物館が有名ですが、美術館も非常に充実してます。トラファルガースクエアのナショナルギャラリーがもちろん最も有名ですが、それ以外にも街のそこかしこに小ぶりな美術館があり、ルネッサンスあたりの巨匠の作品から、モダンアートまで、幅広く楽しめます。企画展も非常に多くあるので、常にアートを4年間通じて楽しめたのは、非常に良かったところです。

加えて、僕も妻も4年間の間に完全にバレエ好きになりました。ロイヤルバレエ、ナショナルバレエなど、ロンドンにあるバレエカンパニーだけでなく、ボリショイやマリンスキーなどロシアの有名カンパニーや、イギリスの他の都市のバレエカンパニーの公演もあり、非常に充実してます。また、クラッシック作品だけじゃなくて、モダンに再解釈を行ったり、バレエ出身じゃない振付家がアレンジをしたりと、新しい試みが行われているのも面白いところ。

この背景には当然、それだけの規模の観客がいるわけです。一定の需要があるマーケットだからこそ、様々なカンパニーも集まってくるし、実験もできる。それに引き寄せられて人材も集まるし、観客もやってくる。その意味で、ロンドンはバレエ(をはじめとした様々な劇場アート)の世界的なハブ都市になっているのではないかと思います。

③ 公園が充実。特に芝生に座って気持ちいい。

ロンドンは町中に大小、様々な公園があるのですが、5月になると一斉に人々が芝生の上に座り込み始めます。緯度が日本よりもかなり北のため、冬は夜が長く、3時には真っ暗になってしまいます。なので、冬の間は皆、日照に飢えてるはずです(実際、日光を浴びないと生成されないビタミンDは、ロンドンで普通に生活してると欠乏するらしい)。その結果、日差しが気持ちよくて、温度が上がってくる5月くらいになると、居ても立っても居られない、とばかりに、町中の公園の芝生に、人々が集まってただ座って時間を過ごすようになるわけです(追記:妻によると早い時は3月のあったかい日から始まる、とのことでした)。

夏も日本ほど暑くならず、基本的にはさわやかな気候が続くので、8月くらいまではご機嫌に芝生ライフが楽しめるのがいいところです。リージェンツパークでよく、友人と飲みました。日本だと暑すぎてやってられないですが・・・

あと、大きい公園たちは、ジョギングするのも、散歩するのも非常に良いです。

一方、不動産価格が上がりまくる中、これだけのスペースを維持して、宅地に転換しないでいるというのは、ある種の既得権益保護だなあ、という感じもしますが、まあそれも社会としての選択ですね。

④ 多様で寛容。

ロンドンはイギリスの中でも際立って多様性が高く、とにかく英語以外の言語を喋ってる人が町中にいます(もちろん僕と妻もその中に含まれるわけですが)。いわゆるイギリス人、と言われて想像するような見た目の人のシェアはかなり少なく、南欧、東欧、北欧、中東、インド、東アジア、アフリカなどあらゆる地域の人が混ざっているのがロンドンの印象です。まあ、それ自体がどう、ということはないのですが、そういう社会がある、ということを経験できたこと自体は良かったなと。

そして、上のパブのところと共通しますが、それぞれの人が思い思いのスタイルで生きていて、他人からの同調圧力が非常に低いのが特徴です。服装一つとっても、みんな、季節感もスタイルもてんでバラバラです。この季節にはこういう格好をしないと変、とか、今はこれが流行りだから、みたいな感覚は全く感じられません。妻によると「日本ではこんな格好で外出できない、とか思うけど、ロンドンだと気にならない」そうです。この同調圧力の低さは、住んでみないとなかなか感じにくいものかもしれません。

一方で、妊婦や老人に親切なのは気持ちいいところ。満員電車だろうと、確実にさっと誰かが席を譲りますし。と、いうわけで、全く他人に関心がないわけでもないのです。もちろん、日本の満員電車とは混み方のレベルが違うので、心の余裕があるのかなあ、とは思いますが。

⑤ 食事が多様で、(実は)美味しい。

イギリス料理といえば、あまり良い評判はありません(し、実際にとても残念な食事をだす店もいっぱいあります)。が、ロンドンの食は非常に充実している、と言い切って良いでしょう。4年間の間に様々な友人が仕事や遊びに来ましたが、全員、口を揃えて「こんなに美味しいと思わなかった」と言ってました。イギリス人の友人に聞いても、この10年でロンドンの食のレベルはすごく変わったそうで。BBCをはじめ、各局で料理番組もたくさんやってますし、総じて食に対する関心が上がって社会として変化しているようです。

特に良いのは、中華、インドはもちろんのこと、地中海料理(モロッコやチュニジアからリビアやシリア、トルコ、ギリシャにかけてのエリアを大雑把にまとめてます)が非常に充実していることです。日本ではあまり食べる機会がないかもしれませんが、個人的にはとても舌に合いました。あと、ペルー料理(セビーチェとかうまいです)、アルゼンチン料理(がっつり肉ですね)などなど。4年間の間に、店で食べた後に自宅で作るようになった料理もたくさんあり、めっきり我が家の料理のレパートリーは広がりました。

⑥ 政治が面白い。

イギリスはこの4年間の間に、Brexitを問う国民投票とスコットランド独立を問う国民投票があり、さらには総選挙が二回あり、政治的には激変でした。ただし、それだけで「政治が面白い」と書いたわけではありません。イギリスの政治家は、とにかくスピーチと討論がめちゃくちゃ上手なのです。論理的で、はっきり要点を示し、さらにジョークを言ったり、相手を皮肉ったりと、やりたい放題であります。

議会開催中は、毎週水曜日にPMQ(Prime Minister’s Question Time)がお昼時にBBCで放送されているのですが、僕は毎週、昼食を食べながら見るのを楽しみにしてました。首相が与党野党の議員からの質問に答えるコーナーですが、質問する方も答える方も歯切れがよく、日本の国会中継とはテンポも切れ味も全く違います。

聞くところによると、小学校から、自分の主張を明確に述べた上で、その主張をサポートする証拠や理屈を述べていく、と言うスタイルで作文をする練習を始めるそうです(僕の指導教官(韓国人)が、娘の受けてる小学校でのエッセーの書き方指導を見て、LSEで大学生に書かせるスタイルと本質的に変わらない、といって驚いてました)。イギリスの政治家の、その場でぽんぽんと論理的に話を組み立てて、わかりやすく話すスキルの根底には、若い時からの繰り返されたこういうトレーニングがあるはずで、これは日本の教育と根本的に違うなあ、と感じます(もちろん、これはその教育で成功した少数のエリートの話なので、一様にそれだけでイギリスの教育を褒めることはできませんが)。

⑦ 公共交通機関が充実してて、街を動き回りやすい。

ロンドンの公共交通機関にはバス、地下鉄、オーバーグラウンド(モノレールのような、地上を走っている交通機関)などがあります。これらは全て、TFL(Transport for London)という、ロンドンの広域行政機関の組織が管理しています。TFLはこれら以外にも、バイクシェアなども運営しており、ロンドン全体の交通のデザインと管理を担う組織のようです。

おそらくこういう管理体制のおかげなんだと思いますが、ロンドンは総じて公共交通機関の接続がよく、ロンドンの隅々まで、何らかの公共交通機関で行くことができます。また、バスは深夜も運行しており(もちろん全てのラインではありませんが)、さらに、地下鉄も一部のラインは金曜、土曜日は終夜運転のため、非常に安全かつ、安価に夜でも移動することができます。おかげで、夜のバレエ観劇や、深夜まで飲んだときでも、タクシーに乗らずに自宅に帰れます。東京都市圏に比べれば、街がそもそもコンパクトだ(東京は都市圏としては未だに世界最大級ですからね)というのもありますが、この移動のしやすさは、ロンドンの街としての魅力に大きく貢献していると思います。

⑧ ヨーロッパ中、どこに行くのもすごく安い。

RyanairやEasyjetなどのLLC各社が、ヨーロッパ中の都市とロンドン近郊の空港(ヒースローに加えて、ガトウィック、スタンステッド、ルートン、シティ、などの空港があります)を接続しており、早めに予約すれば数千円で乗れるので、ヨーロッパ中、どこにでも安くいける点は、ロンドンに住む大きな魅力と言って良いかと。

安い → みんなが旅行に気軽に出かける → 規模の生産性が働く → さらにコストダウンができて安くできる、という好循環が回っているのでしょう。各空港のオペレーションも、僕が滞在している4年の間にどんどん効率的になっており、明らかに好循環が回っている様子が見て取れます。

⑨ 酒の量が常に明朗会計

日本とイギリスで酒を飲むときに明らかに違うのは、イギリスでは常に何mlかがメニューに明記されていることです。ビールも1pint(568.26ml)のグラスには、必ず「ここまで注げば1pint」というライン引いてあり、それ以下で売るのは違法です。ワインも、メニューに125mlならいくら、175mlならいくら、と明記してあり、ちゃんと計量メジャーで測って注ぐことが法律で決まっています。

日本の生中やグラスワインは、店によってグラスのサイズが違ったり、注いでくれる量が注文する時点では不明なので、冷静に考えるとかなり不明朗ですよね。それに比べると、イギリスの仕組みは極めて明朗で、気持ちが良いのです。ただ、議員たちがいったいどんな顔してこの法律を議論してたのか考えると、かなり変な感じがしますが・・・

⑩ イモがうまい

さて、最後の項目はまたもや食事の話です。イモはイギリスの国民食でして、何はともあれイモが好きなのがイギリス人であります。フライにしたり、マッシュにしたり、サラダにしたりと、いろいろと食べ方があるわけですが。日本人が米を食べないと落ち着かないように、イギリス人はイモを食べないとダメみたいです。この項目、わざわざ料理の項目と分けて書いたのには理由がちゃんとありまして、とにかく、総じてイモがうまいのです。

おそらくこれには二つの要素があります。まずは、北海道と同じく緯度的に北にあり、ジャガイモの栽培に向いているのでしょう。北海道の農家の方によると、同じイモを育てても、北海道と本州では味が違うそうで。同じような効果があるのではないかと推測してます。あともう一つは、イギリス人はとにかくイモが好きなので、美味しく食べる工夫をしているのではないかと。もちろん、上で書いた通り伝統的なイギリスの料理店の中にはとても残念な味レベルの店もたくさんあるのですが、おいしい店のイモは本当においしい。どうこの気持ちを伝えたらいいか、わからないのですが、とにかくおいしいのです(しつこいですね、すいません)。

 

はい、これで10個です。ほかにもロンドンのいいところはあるような気もしますが、妻と昨晩、振り返りをしてみて、思いついた10個を書いてみました。次は、ロンドンの残念なことベスト8(10個かけるかと思いましたが、8個になりました)についても書きます。お楽しみに。