今朝メールボックスを開けてみると、Times Higher EducationのWorld University Rankingへの調査依頼メールが届いてました。
毎年、東大が何位、とか、日本からは何校がランキング、みたいにニュースになるあれです。
まあ、調査にお招き頂いたのは、一人前の研究者として認識されたのだと思うので、ありがたいことなのです。が、内容にちょっと驚きました。僕の専門分野の中で、
「世界で最も優れた研究をしている大学を15校」
「世界で最も優れた教育をしている大学を15校」
答えてくださいってことなんですが(加えて、あなたの国で、というのがさらに続きます)、正直言って真面目に考えれば考えるほど回答が難しい質問です。
研究であれば、論文には必ず筆者の在籍校が記載されているので、よくみる名前はさすがに数校くらいなら印象に残るのですが、とはいえ15校と言われると厳しいですし、そもそも研究者の名前は覚えていても、大学の名前まで注意を払っていないことが殆どです。
さらに、教育は正直言って判断する根拠が乏しいです。他の大学でやっている教育の内容を直接見る機会は無いし、リクルーターみたいに、いろいろな大学の卒業生にたくさん会うわけでも無いですしね。あるとすればPhDの採用でいろんな大学からの応募があるって感じですが、それ分かるのはPhD教育の質であって、より規模が大きい学部や修士の質は何もわかんないし・・・・
と、いうことで、総じて判断の根拠が乏しいのです。ベテランの先生ならもうちょっと情報量あるのかなあ、と考えましたが、多分程度問題でしょう。
こういう調査の結果は明らかで、「有名」で「好印象」な大学が選ばれやすくなります。
じゃあ、ランキングを上げるためにはどうすればいいか?
研究者の間での知名度と印象をあげればいいのです。
もちろんランキングはいろいろな要素で構成されているので、これだけの話では無いのですが、ランキングをあげよう、という大学の立場に立つと、結局のところ、上記の設問に答える研究者に純粋想起されるように、まずは研究者の間で名前を売れば単純に人気投票部分の点数は上がりますよね。
これで、学会で見かける、
「スポンサーになることで自校の名前を学会パンフに載せる」
「自校の名前をバッグに刷って学会で配る」
「学会会場でブレックファーストや夜のパーティを主宰する」
みたいな売名行為みたいな活動を、いろいろな大学がやってたのはこのためだったのか・・・と納得がいきました。
まあ、名前を認知してもらわないと、中身が何をやっているかも記憶に残らない、というのも理屈としてはよく分かるのですが・・・明らかに、大学の研究と教育という本業に直接寄与しない活動にお金を結構かけているわけで、ランキングに踊らされているといえば踊らされているような感もあり、なかなか微妙な気づきでありました。