Baidu学术が、研究者の必須ツールであるGoogle Scholarの単なるパクリを超えていて、結構使える件について

今回は中国のウェブ検索大手(荒っぽくいうと中国のGoogleみたいな会社)であるバイドゥの提供している、研究者向けの論文検索サービス「Baidu学术」について。大学等の研究者、あるいは、大学にいないけど学術論文を読む機会のある方にはかなり耳寄りな情報のはずですが、自分は違うなーという方にはどうでもいいと思います。予めご了承ください。

さて、みなさんご承知の通り、中国では中国外で使える様々なウェブツールが使えません。その代表格がGoogleの一連のサービスです。VPNを使えばいいわけですが、だとしても中国では総じて海外へのネットワークが遅いので、ちんたらしていてイライラします。

タイトルにあるGoogle scholarは、研究者の皆さんにはおなじみの、ほぼ必須ツールと言っていいと思われるサービスです。何をしてくれるかというと、以下のような機能があります(他にもいろいろありますがここでは割愛)。

  • 世界中で発表された学術論文を検索できる。
    単純にウェブで検索すると、有象無象の多種多様なウェブサイトが引っかかってしまいますが、Google scholarで検索すると、学術論文だけをピックアップして表示してくれます。
  • 論文に関する基本情報を検索結果に表示してくれる
    検索で引っかかった論文の著者が誰で、どの学術誌に載っているか、どれくらい他の論文から引用されているか、など、研究者が論文をチェックする上で参照したい情報をちゃんと検索画面に出してくれる
  • 引用情報をダウンロードできる
    学術論文のお作法として、「他の研究者がすでに論文などで述べていることを引用・参照して書く場合は引用元を明記する」「論文の最後に、引用論文の詳細を書く」というのがあります。大抵、100近い論文を引用するので、これが大変な手間。なので、引用情報(タイトル、著者、掲載学術誌名、などなど)をEndnoteやMendeleyなどの文献情報管理ソフトで管理するのですが、Google Scholarからは、これらのソフトに論文の引用情報を読み込めるファイルをダウンロードできます。これにより、いちいち手入力しなくてよくなるので、非常に助かるのです

ただし、弱みもあるので(ここでは割愛しますが)、他の検索ツール(web of knowledgeとか)と並行して使ってます。

で、問題は、これも中国からは使えないということです。流石に職場の大学のネットワークからだと使えるのですが、一般の家庭用のネット接続を使っている自宅からだと使えません。もちろん、VPNを使って接続してもいいのですが、まあ、それも手間ですし、遅いという問題は解決しません。

と、いうことで、Google scholarに頼って自宅で研究をするのはあまり現実的ではありません。なので、おそらくBaiduさんが同じようなサービスを提供しているだろう、という仮説の元、Baiduのサイトをチェックしてみました。そしたらやはりありました。その名も、

Baidu学术(=学術)

なるサービスです。で、驚くべきことに(いや、想定通り、というべきかもですが)Google Scholarの見事なパクリでありまして、検索画面は完全にそっくり。

まず、こちらがGoogle Scholar。Google scholar

で、こっちがBiadu学术で同じ研究書を検索した画面。はい、色がちょっと違うのと、出てくる順番が微妙に違いますが、ほぼ同じです。そして、当たり前のように自宅でも使えます(いや、これが嬉しいのは中国に住んでる人だけか・・・)し、反応もGoogle scholarよりもかなりに早いです(あ、これも世界のネットにサクサクつながるネット環境の人には関係ないですね・・・)。

Baidu scholar

ですが、大事なのはここからでして、BaiduにはGoogleにない(研究者にだけしか価値がわからないであろう)ミラクルな機能があるのです。それが各論文の右下に表示されているBaidu scholar 2というボタンと、スクリーンの右下にあるブルーの○です。

これらが何をしてくれるかというと、引用情報が欲しい論文についてBaidu scholar 2のボタンを押すと、その情報を裏でストックしてくれる(アマゾンのショッピングカートみたいな感じ)のです。そして何本も連続で検索→Baidu scholar 2ボタンをクリック、ということを続けていくと、その数だけ、右下のブルーの○に数字が表示されてきます(上の写真だと、3ですね)。その上で、この○をクリックすると・・・

Baidu scholar 3

このとおり、ストックした論文の情報が一覧で表示され、なおかつ、これが実に素晴らしいのですが、「导出至」というボタンをクリックすると、これらの論文の引用情報が一括ダウンロードでき、Endnoteに一括で情報を読み込めるのです。うーん便利。引用情報をダウンロード→そのファイルをクリック→Endnoteで内容確認、というステップを論文一本ごとにやってたことから考えると格段の生産性向上であります。

ちなみに、研究者の方からは(他の論文検索サービスである)Web of Knowledgeにも似たような機能があるじゃん、というツッコミが帰ってきそうですが、Baiduのほうが格段にスピードが早いのと、操作性がいい感じがします(ただまあ、Baiduでは学術誌を指定して検索するとか、その辺の機能が足りないので、Web of Knowledgeと併用になりますが)。

 

まあ、中国のウェブ環境についてはいろいろ毀誉褒貶がありますが、このウェブサービスはかなり便利なので、共有させていただきました。なお、検索結果の品質や、表示される論文の差異(例えば、Google scholarだと表示される論文がBaidu学术だと表示されないとか、その逆とか)については検証してないので、ご容赦ください。

広告

投稿者: 吉川克彦(Katsuhiko Yoshikawa)

国際人事・組織論に関する研究者、コンサルタント。PhD (Management, London School of Economics and Political Science)。2017年8月より、上海交通大学安泰経管学院にて、Assistant Professorに就任予定。 主な研究分野は組織論、人材マネジメント論、国際経営論。 Journal of World Businessに査読付き論文が掲載されたほか、Academy of International Business, Academy of Management, Association of Japanese Business Studiesなどの学会にて研究発表の実績あり。また、日本国内でダイバーシティマネジメントについての書籍を出版。また、人事関連の雑誌への寄稿、新聞への論考を掲載。主な研究実績についてはこちら。 コンサルタントとして、様々な業界の日本企業の人事・組織変革を支援。主なテーマは、企業理念の浸透、ダイバーシティマネジメント(女性活躍促進を含む)、人事諸制度の再構築、海外法人における人事体制の確立、次世代リーダー育成、採用戦略の立案など。 1998年にリクルートに入社。人材、組織に関する研究、コンサルティング、サービス開発に 従事。2013年に同社を退社。 1974年 兵庫県西宮市生まれ。京都大学経済学部卒。2011年にLondon School of Economics and Political Science にてMSc. Management, Organisations and Governance 優等修了(Distinction) および、PhD in Management (Organisational Behaviour and Employment Relations Track)を終了。 ご連絡はこちらまで。 katsuhiko78@gmail.com / k.yoshikawa@lse.ac.uk

コメントを残す