2年間の上海生活で僕たちが好きだったこと

これまで2年間、中国の上海交通大学で働いていましたが、この8月から東京、日本橋の至善館大学に移籍し日本で働くことになりました。

今、上海の虹橋空港で飛行機を待ちつつ、このポストを書いてます。

ここで、ロンドンから上海に移ったときの慣例に従い、妻と僕とで感じた、上海生活のおさらいを書いておこうと思います。

ちなみに、ロンドン編は以下の二つを書きました。
4年間のロンドン生活で僕たちが好きだったこと
4年間のロンドン生活で僕たちが残念に思ったこ


(1)治安がいい
僕も妻も一貫した感想ですが、ロンドンよりも、夜の街を一人で歩いていても、危険を感じることが全くないのが上海でした。

街を歩いていても、通りがかる人たちは全体的にみんな自分の仕事で忙しそうか、楽しそうにお出かけ、お散歩してる、あるいはお話ししてたりゲームしている人たちばかりで、道端でぼーっと無目的な感じで座り込んでいる人や、通りがかる人たち怪しい目つきでを見てくる人がほぼいません(逆に言えばロンドンには結構いた)。

街じゅうにいる宅配便のおじさんたちも、道端にに荷物をいっぱい積んだバイクを停めっぱなしでマンションに配送に行っていたりします。ひょいっと盗まれることはあんまりないんでしょうね。

もちろん、街じゅうにカメラがあり、監視されている社会であること、経済が発展していてやる気があれば仕事があること、社会福祉がそんなに充実してないので働かないと食えないことなど、色々な社会的要素が影響しているわけですが、外国人として住んでいる分には、安全な街でした。

(2)飯がうまい。そして家にあっという間に届く
中華料理が世界的に見てもバリエーションが多くてレベルが高い料理であることは僕が述べる必要もないと思います。

日本では中華料理はひとくくりですが、中国には中華料理という概念は存在せず、地域ごとの料理名で呼ばれているのが普通です。例えば上海やその周辺の浙江省、江蘇省の料理は本帮菜(ベンバンツァイ)と呼ばれますし、四川(言わずと知れた麻辣が効いたスパイシー料理)、西北地方(新疆ウイグルとかの遊牧民的なラムを多用した料理)、香港や広東の粤菜(ユエツァイ、飲茶とか)など多種多様な料理を提供する店がそれぞれにあります。

さらに、外国の食事も幅広く食べられます。日本の料理では寿司、焼肉などは若者の間でも人気ですし、ステーキやピザ、パスタなども結構普通に食べられています。国際都市として外国人の駐在員やその家族も多いので、なんちゃってではない、本国から料理人が来てやっている本格的な各国料理の店もあります。

特に、ステーキは侮れません。かなり人気の料理として定着していて、正直イギリスよりも美味しいと感じる店が多かったです。イギリスのステーキは、とにかく下味がちゃんとついていない、焼き過ぎ、になりがちで、店を厳選しないと残念な目にあうのですが、上海では全くそういうことはなく。常に美味しいステーキが食べられるのは上海の予想しなかった美点でした。

そして、ほぼなんでも、家に30分くらいでデリバリーが可能。特に中国各地の料理に関しては、家で食べられないものはないと言ってもいいでしょう。きちんとしたパッケージで、保温が効いた状態であったかいものはあったかく、冷たいものは冷たい状態で届き、さらに、冷えたビールもデリバリーで発注できるため、どんどんぐうたらになります。

(3)思いの外、マナーが悪くない
日本では、中国からくる旅行者のマナーについてのネガティブな報道がかなりあるようですが、上海に住んでみての印象は、「半分正しくて、半分間違っている」という感じです。

もちろん、地下鉄で満員の電車に中から降りてくる人を押しのけて突っ込んでいく、スピーカーから音を出して携帯でビデオを見ている、行列にしれっと割り込む、道を歩いていてぽいっとゴミを道に捨てる、痰を吐く、などの残念な行動を見かけることは普通にあります。

が、一方で、地下鉄で出入り口の両脇に分かれて降りる人が終わるまで静かに待っていたり、電車の中でイヤホンで静かに音楽やビデオを楽しんでいたり、行列に割り込む人にちゃんと待ちなよと苦言を呈したり、ゴミをリサイクルボックスに分別して捨てたりなどの行動をとる人たちもちゃんといます。

街の様々なところにマナー向上の標語が貼ってあったり、駅ではマナー向上ビデオが流れていることが着実に影響しているのかも知れません。どうも聞いていると、上海や大きな街で育った若い人ほどそういう傾向があるようです。

日本でも、僕が若かった頃に高速道路で車の窓からゴミをポイ捨てするのが社会問題として報道されていたりとか、つい10年ほど前までタバコの吸い殻を道に捨てる人が結構いたりなど、今よりもマナーはかなり悪かった訳です(今ではちょっと隔世の感がありますが)。

中国の急速な社会の変化と同じように、マナーも変化しているのでは?というのが僕たちの率直な感想です。

(4)老人たちが健康的に外で活動している
先日、大学の同僚から聞いたところによると、上海市の平均寿命は日本並みの水準に近づきつつあるらしいです。統計を自分でチェックしてないので本当かどうかはわかりませんが、確かにそうかも、と思わせられるのが、街で見かけるご老人たちです。

とにかく、街のそこかしこにある公園では、必ずと言っていいほど高齢者のみなさんが、散歩、ダンス、太極拳、体操、筋トレ、ストレッチをしているのです。

特に、ダンスは10人、20人のレベルで結構な人数が音楽に合わせてびしっと揃って踊っていることが多く、圧巻です。土日の朝に近所の公園にジョギングに行ったりすると、朝からやっていますし、平日の夕方にも街のそこかしこの公園で中高年の熟女たちが踊ってます。

男性陣にはダンスはあまり流行っていないようですが、公園で筋トレやストレッチをしているおじいさんはよく見ます。

上海は、とにかく夕食の時間が早く、だいたい5時半くらいから店は埋まり始めて、6時半くらいがピーク、そして、7時半くらいには引け始める感じです。おそらく自宅でもそれくらいの時間にご飯を食べているのでしょう、うちのマンションのブロックでは、7時ごろを境に、部屋着、あるいは寝巻きに着替えてお散歩する人たちが増えてきます。これは高齢者に限らず、僕たちと同年代の夫婦や、若者も結構みかけます。どうも、食後に散歩をして、すっきりしてから寝る、というのが習慣のようです。上海っ子は酒もあんまり飲みませんしね。

このように、上海は健康的なのです。食事も、肉と魚介、野菜をバランスよく撮りますし、ナッツも食べる。そしてこの運動ぶり。医療のレベルが上がった今、平均年齢が日本並みに上がっても不思議じゃないなあ、と本当に感じるのです。

(5)中国茶と中国陶磁器が楽しい
ロンドンでは、充実した美術館と、バレエやミュージカルを始めとした演劇など、アートを満喫していた我々ですが、上海では中国のお茶と陶磁器にはまりました。

中国のお茶は、ウーロン茶やジャスミンティー、プーアル茶などは日本でもおなじみですが、それ以外にも各地域ごとに様々な種類のお茶があり、新茶で積み立てを楽しむものから、10年単位で熟成された古茶まで存在することを、中国に来てみてわかりました。

茶葉の専門店ばかりが集まったお茶のショッピングセンター(茶城といいます)が上海市内には数カ所あり、そこでなじみになった店で、いろいろ試し飲みさせてもらっては購入することからスタートし、今回の荷造りでも10種類くらいの茶葉を日本に送ることになりました。上述の通り、各地に特有のお茶があるので、中国国内旅行で他の地方に出かけては、お茶屋さんで現地の茶を物色したりしたのも良い思い出です。

さらに、陶磁器にもハマりました。中国の陶磁器の歴史は古くは漢より前に遡るほど長いのですが、宋時代くらいから技術が大幅に発展し、元、明、清まで、時代ごと、さらには各地に様々な窯が様々なスタイルの焼き物が作られており、単に焼き物と一括りにするにはもったいないくらいの多様性が存在します。

我が家は、上海博物館の陶磁器コーナー(お勧めです)からスタートして、景徳鎮まで出かけて工場を見学し、北京や西安、成都で博物館の陶磁器コーナーを堪能、さらには美術館に実物があるような名品のコピー品を購入する(中国では「仿」という文字をつけてコピー品であることを表示して、普通に出回ってます)ところまで楽しみました。コピー品と言ってもそれなりの職人が作ったものは値段もそこそこしますので、上海滞在中に最もお金を使った趣味と言って良いかと思われます。

ロンドンの時も思いましたが、こういう文化がある、というのは、住む国・街としては結構重要だなあ、と改めて思います。


以上、2年間の上海生活で好きだったことを5つにまとめてみました。今から飛行機乗ります。上海、ありがとう!

投稿者 吉川克彦(Katsuhiko Yoshikawa) について

大学院大学至善館副学長兼准教授。経営学博士(PhD in Management)。リクルートグループにて人と組織に関する研究およびコンサルティングに従事したのち、2017年8月より現職。主な研究分野は組織論、人材マネジメント論。 京都大学経済学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスより経営学修士及び経営学博士を取得。2017年8月より上海交通大学 安泰経営与管理学院 助理教授、2019年8月より現職。ご連絡はこちらまで。 katsuhiko78@gmail.com

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